蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

激しい戦の余韻が残る玉座の間。
瓦礫と血の匂いが漂う中、
セドリクスは静かに立ち尽くしていた。

周囲では仲間たちが負傷者を運び出し、
戦いの終わりを受け入れている。
しかし彼の視線は虚空を見つめ、
千年前の光景が脳裏に甦る。

――あの時、エルフリーデを守りきれなかった。
――もし自分が彼女の側にいて、最後まで共に戦っていたなら……

そんな「たられば」が頭から離れない。
胸の奥に込み上げる後悔と痛み。
そしてエルフリーデが言ったという言葉――
「ごめんなさい。私、セドリクスにあげたかった…」

もし王国は滅亡せず、
平和な日々が続いていたなら。
アルバレス様が王となり、
エルフリーデ様と自分が結ばれる。
そんな未来もあったのだろうか。

セドリクスは静かに握りしめた拳を解き、
天井を見上げる。
戦いは終わったが、
心の中の戦いはまだ終わっていなかった。
彼は深く息を吐き、ふと横を見ると、
エリシアが静かに歩み寄ってきた。
銀色の髪が淡く光り、
覚醒した青い瞳が
戦場の喧騒の中で揺らめいていた。

「セドリクス…」

その声に、
彼の胸の奥にあった感情が大きく揺れる。
守るべきもの、愛する者、
そして再び共に生きる希望――。
千年前の後悔を胸に抱きながらも、
今ここにいる約束の姫の手を、
絶対に離さないと誓う。

きっとエルフリーデ様も
それを望んでおられるはずだ。