蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

「くだらぬ偽善を……!」

皇帝が立ち上がり、
黒杖が床を打ち鳴らした。

次の瞬間、玉座の間が震える。

「お前が……!
お前がアストラ・ベインを“寝返らせた”というのか!!」

怒りで声が割れ、
魔力の闇渦が背後に噴き上がる。

「ならばよい。エリシア……貴様は“俺が”討つ。」

皇帝の眼光は鋭く、狂気すら帯びていた。

「今度こそ根絶やしにしてやるぞ……
ヴァルクリオンの亡霊め!!!」

凄むヴァルディスに怯みもせず、
セドリクスが対峙した。
「エリシア殿には指一本触れさせない。」

その一言だけで、
千年前の王国の騎士が
よみがえったかのようだった。

ヴァルディスの口元が歪む。

「これも伝説通り。古代の遺物が……まだ生きていたとはな。だが貴様から始末してやる。」

ヴァルディスの合図で
帝国近衛兵が影のように姿を現し、
黒杖の先に禍々しい星霧が渦を巻く。

ルチアが叫ぶ。
「来るよ!!みんな構えて!!」

エリシアは胸の奥で密かに願う。
――セドリクス、どうか死なないで。

彼もまた、
彼女を守る覚悟だけを瞳に宿した。

そして、
玉座の間は
千年の因縁がぶつかり合う戦場へと変わった。