蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

通路を抜けると、
黒星宮の裏庭に
ぽつんと残された古い井戸へと出た。
蔦に覆われ、
今や誰も近づかない忘れ去られた場所。

「……ここからなら、誰にも見つからず黒星宮の内部へ入れる」

ルチアの声には確かな希望が宿っていた。

エリシアは黒星宮を見上げ、
改めて息を吸い込む。

ここが、帝国を変える戦いの始まり。

セドリクスの手がそっと彼女の手に触れた。
「一緒に行こう。……どんな未来でも」

エリシアは力強く頷いた。

朽ちた井戸から地上へ這い上がると、
冷たい夜気が肌に触れた。
黒星宮の裏庭
――増築により迷宮のように入り組んだ
城の影のひとつ。
ルチアとカインは視線を交わし、
潜入部隊の配置と突入タイミングを
慎重に見定めている。

だが、
エリシアとセドリクスは
少しだけ離れた場所にいた。
きっとルチアが気を利かせてくれたのだろう。