蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

アーゼンハイトの帝都は、
千年前とはまるで別世界だった。
巨大な光の塔、空を走る運搬車、
煌めく魔導式ホログラム広告。

「なんだこの…光の板は!? 触れられぬぞ!」
「空を…無理やり飛んでいるのか、あの鉄の箱は!?」

セドリクス、ルキウス、ヴァンたち古代の戦士は、
完全に目を白黒させていた。

道行く市民たちは
そんな彼らに奇異な目を向けるが、
ルチアがさっと手を振り、ごまかす。
「観光客なの!ほら、首を縮めて、お上りさんだと思われちゃう!」

帝都の中心部は灯りに満ち、
華やかさで溢れていた。

だが、エリシアの目はごまかされない。

ビルの陰には、
かつての自分のような孤児たちが
膝を抱えて眠っていた。
仕事を追われ、
酒瓶を握ったまま寒さに震える男。
生活のために体を売るしか道のない女性が、
虚ろな目で路地裏に立っている。

(アーゼンハイト皇帝は、人の苦しみはそのまま置き去りにして、帝権だけを肥大させているんだわ……)
エリシアの胸に、
静かな怒りが燃え上がる。