蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

しかし――その輝きを見つめながら、
セドリクスの胸は痛んでいた。

深く、鋭く、どうにもならないほどに。

(……姫。あなたは……いつの間に、こんなにも遠くへ)

昨日まで自分の背後で怯えながら眠っていた少女が、
自分が守るべき“小さな存在”だったエリシアが、

いまは自分の手の届かない高みに立っている。

セドリクスは静かに拳を握りしめた。

千年前、守れなかった姫エルフリーデ。
その面影を持つエリシアに向けた
守りたいという想い。
そして、膨れ上がる独占欲と焦燥。

――姫は、手の届かないほど
遠い存在になってしまうのではないか。

そんな不安が、喉の奥で苦しく渦巻いた。

けれど、エリシアがこちらを振り返り、
微かに微笑んだ。

“あの優しい笑み”は変わっていない。

セドリクスの胸はぎゅっと締め付けられ、
その一瞬で息が詰まるほどだった。

(……姫。どうか――どれほど高い場所へ行こうとも。
どうか俺の手を、離さないでくれ……)

彼は誰にも聞こえないほどの声量で、
そう呟いた。