蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

エリシアはセドリクスの胸にもたれたまま、
か細い声で呟く。

「今……誰かの声がしたの。“継承が始まる”って……」

セドリクスの目がわずかに揺れた。

「きっと……エルフリーデ様だ。エリシアが“約束された者”だから、語りかけてくださったんだ」

セドリクスの声音はとても優しく、
そして切なかった。

ライオネルが言う。
「継承の儀式には準備が要ります。
今日はここで休み、明日――本儀式を行いましょう」

エリシアは不安げに頷いた。

自分の血が、宿命が、
世界の大きな力と繋がり始めている。

胸がざわざわと高鳴り、
落ち着かない。

セドリクスはそんな彼女の手をそっと取った。
「大丈夫だ。必ず守る。
――たとえ、この命が果てようとも」

その声は、
千年前と同じ誓いの響きを宿していた。