蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

山道に入り、
草花が広がる静かな林の中を歩く一行。

鳥の囀りが聞こえ、
時折エリシアが立ち止まっては
見つけた花に目を輝かせる。

「見て、セドリクス。これ……光ってる」

「“夜花”だ。魔力が多い土地に咲く花で……
 昔、エルフリーデ様も好きだった」

「そうなんだ……。きれいだね」

エリシアの無垢な微笑みに、
セドリクスの胸がふっと熱を帯びる。

(似ている――けれど、違う。あの方とは……別の存在だ)

ふいに、エリシアが小声で囁く。
「セドリクス……今、私のことをエルフリーデ様みたい、って、思った?」

歩みが止まった。

セドリクスは目を見開き――
そして、柔らかくかぶりを振る。

「……確かに似ている。けれど……
 俺は“今の君”をちゃんと見ている」

エリシアは頬が熱くなり、慌てて俯く。

ライオネルは後ろで
(また甘く口説いてる……気づいてないだけで充分恋愛脳だろ)
と呆れつつも微笑んでいた。

平穏で、あたたかい時間が
そこには流れていた。