蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

夜も更け、
焚き火の明かりが静かに揺れていた。
セドリクスとライオネルは
長老たちの座に呼ばれ、
村の歴史を聞くことになった。

長老は深い皺をたたえた顔で語り始める。

「王国が滅んだ後……私たちの祖は森に逃れ、この里を築きました。アーゼンハイト帝国は王国の名残ある地を徹底して支配し、銀髪の者を“呪いの血”として狩り続けたのです」

セドリクスは静かに拳を握る。

「……我らが眠っていた間に、そこまでの暴政が……」

ライオネルが腕を組んだまま低く言う。

「千年の間に帝国は肥え太ったが、そのぶん腐ってもいるということか。
 今の皇帝も、ヴァルクリオンの血を恐れ、生贄なんて非道を平然とやっているのか」

長老はこくりと頷いた。

「だからこそ、姫様が現れたことは……希望そのもの。
 あなた方はどう動かれるつもりですか?」

セドリクスとライオネルは視線を交わす。

そしてセドリクスが静かに口を開いた。

「――星の継承院へ向かいます。
 あそこに、王家の力を継ぐための秘儀が残されているはずだ」

「姫が覚醒すれば、帝国に抗うだけの力を得られる。
 それまでは、なんとしても護り抜く。それが俺たちの役目だ」

ライオネルも真剣な表情で続ける。

「帝国は必ず動く。姫を殺すためにな。急いだ方がいい」

セドリクスは頷き、夜空を見上げた。
星が静かにまたたく。

(……エルフリーデ様。約束は必ず果たす。
 今度こそ、大切なものを守り抜く――)

その心には、意識せずとも、
眠るエリシアの面影が重なっていた。