古代ルーヴェル王国と縁ある“隠れ里”は、
深い森と結界に守られた静謐な村だった。
村の長老は、
約束の姫を迎えたと知るや否や
半ば震えながら歓迎し、
一行を客間へ案内した。
ふかふかの寝具、温かい灯火、
広すぎるほどの部屋――
孤児院で粗末なベッドに慣れていたエリシアは
思わずぽかんとした。
「わぁ……すごい……。私ひとりには広すぎるね」
セドリクスが慎ましく控えていたので、
エリシアは純粋な気持ちで言ってしまった。
「ねぇ、セドリクスも休んだら? 一緒に」
セドリクスは息を呑んだ。
未婚の女性と同じ部屋で夜を過ごすなど、
古代では家門の誇りを失うほどの大事件だ。
だがエリシアの顔は
「広いし寂しくないよ」
程度の意味しか表していない。
(……わかって言っているのか? それとも……本気で無自覚なのか……?)
喉が乾き、返事に少し遅れてしまう。
しかしセドリクスは
“騎士”としての礼節を守り、
丁寧に頭を下げた。
「いえ、姫。私はこのすぐ近くの部屋で休みます。
あなたに失礼のないよう、控えさせていただきます」
「え? そっか……うん、わかった」
そのやり取りを廊下から見ていたライオネルは、
口元を隠してクスッと笑った。
「……無自覚って罪だな、ほんと」
“殺すぞ”という目で睨むセドリクス。
ライオネルは肩をすくめ、
悪びれずに続けた。
「そんな顔するなよ。お前も苦労するなって同情してるんじゃないか。」
セドリクスの眉間がさらに険しくなる。
深い森と結界に守られた静謐な村だった。
村の長老は、
約束の姫を迎えたと知るや否や
半ば震えながら歓迎し、
一行を客間へ案内した。
ふかふかの寝具、温かい灯火、
広すぎるほどの部屋――
孤児院で粗末なベッドに慣れていたエリシアは
思わずぽかんとした。
「わぁ……すごい……。私ひとりには広すぎるね」
セドリクスが慎ましく控えていたので、
エリシアは純粋な気持ちで言ってしまった。
「ねぇ、セドリクスも休んだら? 一緒に」
セドリクスは息を呑んだ。
未婚の女性と同じ部屋で夜を過ごすなど、
古代では家門の誇りを失うほどの大事件だ。
だがエリシアの顔は
「広いし寂しくないよ」
程度の意味しか表していない。
(……わかって言っているのか? それとも……本気で無自覚なのか……?)
喉が乾き、返事に少し遅れてしまう。
しかしセドリクスは
“騎士”としての礼節を守り、
丁寧に頭を下げた。
「いえ、姫。私はこのすぐ近くの部屋で休みます。
あなたに失礼のないよう、控えさせていただきます」
「え? そっか……うん、わかった」
そのやり取りを廊下から見ていたライオネルは、
口元を隠してクスッと笑った。
「……無自覚って罪だな、ほんと」
“殺すぞ”という目で睨むセドリクス。
ライオネルは肩をすくめ、
悪びれずに続けた。
「そんな顔するなよ。お前も苦労するなって同情してるんじゃないか。」
セドリクスの眉間がさらに険しくなる。



