蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

「無事だ、エリシア。よく頑張ったな。」

その声にほっとしながらも、
エリシアは周囲の静寂に耳を澄ます。
敵の追手の気配はない。

ライオネルが口元を拭いながら苦笑する。

「……少々無理をしました。古代魔法《星渡り(アステル・クロス)》は、扱いが難しいもので。ですが、今は誰も追って来られません。」

「ライオネル、大丈夫? どこか怪我してない?」
エリシアが駆け寄ると、
彼は一瞬だけ目を見開き、
柔らかく微笑んだ。

「ご心配なく。姫のお顔が見られたので、もう大丈夫です。」

すぐ背後から、
ズン……
と低い圧が落ちた。

エリシアは気づかず、
セドリクスだけが眉を引きつらせる。

(……こいつ、いちいち姫に甘い顔をするな)

そんな男同士の空気を察したのか、
それとも偶然か。
村の奥、
灯籠の向こうに人影が近づいてきた。