蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

しかし、
その穏やかな時間は唐突に破られる。

鳥の声が止んだ。

風の流れが変わった。

ライオネルが立ち止まり、
剣に手をかける。

「……静かすぎる。妙だ。」

セドリクスはエリシアの腕をそっと引き寄せる。

「エリシア、俺の側から離れるな。」

急に低く、
騎士の声に戻ったセドリクス。
その瞬間、森の奥から――

ビュッッ!!

矢が飛び出し、木に突き刺さった。

「伏せろ!!」

セドリクスがエリシアの肩を抱き、
地面へ押し倒す。

(え……っ!?)

温かい体温。
顔が近い。
胸の鼓動が触れそうな距離。
エリシアは驚きすぎて息ができない。

「くそ……アーゼンハイトの刺客だ。」

森の影から黒い外套の兵たちが次々と現れた。

「やはり生きていたか、古代の騎士。
そしてその少女が――“約束の姫”!」

剣が抜かれる。
騎士たちが前へ出る。
セドリクスはエリシアを庇いながら立ち上がる。

「エリシア、怖がるな。
俺が……お前は俺が必ず守る。」

声は落ち着いているのに、
赤い瞳は燃えていた。
怒りと、焦りと、――強烈な独占欲で。

その横顔を見つめながら、
エリシアは胸の奥が
ぎゅっと熱くなるのを感じた。

(なんで……こんなにドキドキするの?)

理由は分からない。
ただ、
「この人が自分を守ってくれる」
という確信だけが、
胸を強く満たしていた。

一方ライオネルは剣を構え、
その目で刺客たちを嘲笑う。

「姫に触れられると思うなよ。
千年前から、お前たち帝国の血筋にはうんざりしている。」

こうして――
甘さと戦いが交錯する、
星の継承院への道中の第一戦が幕を開けた。