蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

夜が明ける少し前。
薄い霧が森に立ちこめ、
鳥の声がまだ戻らない時間。
その静けさの中で、
エリシアは焚き火のそばで眠っていた。

セドリクスはそっと彼女の肩に外套を掛けなおすと、
霊廟の外に佇むライオネルの姿を見つけた。

「……ここにいたのか」

2人きりのときの、低く飾らない声だ。

ライオネルは微笑んだまま振り返る。
銀青の髪を揺らすその眼差しは、
霊廟で会ったときと同じく誠実で強い。

「セドリクス。
 次の目的地は――“星の継承院”でいいんだな?」

「……ああ。姫が覚醒するには、まず“継承の儀”を受けさせる必要がある。そのためには星の継承院へ向かうしかない」

「では、姫の覚醒は……もう近いのか?」

セドリクスの表情がわずかに揺れる。

「完全ではない。だが、古代語を理解し、霊廟を開いた……あれは“蒼銀の王家”の証だ。覚醒が進めば、ますます帝国が放っておくわけがない」

ライオネルは静かに頷く。

「ならば、急ごう。帝国の刺客はすでに動いているはずだ」