蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

「姫。先ほどはご無礼を。
あなたをお迎えできた喜びのあまり……つい。」

ニコッと微笑むライオネル。
セドリクスの目が細くなる。

「ライオネル、副長。」
声が低すぎる。

「何かな? セドリクス。」

「先ほどの行為、控えていただきたい。
姫が困惑されている。」

「ふむ。だが……
“姫を悦ばせることは我ら騎士の喜び” なのだが?」

挑発的に言いながら、
ライオネルはエリシアの方を見る。
エリシアの頬がほんのり赤くなる。

セドリクスのこめかみがピクピクする。

「あ、あの……じゃあ、セドリクスは……?」

「……私がどうしたのです?」

「手じゃなくても、別のところにキスしたり……するの?」

沈黙。

風の音だけが鳴る。

ライオネルがククッと笑いを噛みしめる。

セドリクスはゆっくりエリシアに向き直り、
「……ええ、します。」
と言うと、そっとエリシアの頬に手を添えた。

エリシアの呼吸が止まる。

「こうして――」
額に、静かに口づけを落とした。

ほんの一瞬。
けれど、世界が止まったように甘い。

「これは――
忠誠と敬意、そして……深い想いを示す印です。」

耳元で低く囁かれ、エリシアの膝がカクッと震える。

ライオネルはわざとらしく手を叩いた。

「ほう……なるほど。
セドリクス殿は“額”派か。これは強敵だ。」

「黙れ、ライオネル。」

完全に火花が散る二人。

エリシアは真っ赤になりながら胸を押さえた。

(な、なにこの気持ち……!?)

甘酸っぱく、少し痛くて、胸がきゅっとなる。