「貴様……何を言っている。」
「言葉の通りだとも。」
ライオネルは柔らかく笑いながら、
しかし目だけは鋭いまま言い放った。
「エリシア様の“手の甲に触れた騎士”の名を、忘れぬようにな。」
バチッ……!
二人の間に、目には見えない火花が散る。
エリシアは、おずおずと二人を見比べる。
どうしてこんなに怖い顔をしているのだろう、
と不思議そうに。
「……あ、あの……?」
おずおずと声を上げるエリシア。
その瞬間、
二人はピタッと沈黙し、
同時に振り返った。
「姫、お気をつけください。」
(※セドリクス)
「エリシア様、何か不安がおありですか?」
(※ライオネル)
同時にしゃがみ込み、
同時に丁寧に頭を下げる。
エリシアは困り顔で言う。
「え……えっと……あの……二人とも、仲良くして……?」
二人は同時に言う。
「もちろんです。」
「もちろんですとも。」
――声は揃っているのに、
目はまったく揃っていない。
不穏な笑み。
剣よりも鋭い視線。
こうして、
セドリクス vs ライオネルの静かな戦い
が始まったのであった――。



