蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

古代の紋章が刻まれた大扉が、
エリシアの手に触れた瞬間――

「蒼銀の血筋、確認」
低く、どこか機械的な声が響き、
重々しい音を立てて扉が開いた。

中には、数十の石棺が整然と並び、
淡い青光が舞っている。

エリシアが一歩踏み出すと――

石棺が次々と開いた。

鎧を纏った騎士たちが、
跪くように姿勢を低くし、
そしていっせいに声を揃えた。

「――お待ち申し上げておりました。
 ヴァルクリオン王家の正統なる後継者、約束の姫よ」

エリシアは驚いて後ずさる。
「この方たちが、アルバレス様のおっしゃっていた……!?」

すると、一人の騎士が前に出た。
長身で、切れ長の琥珀色の瞳。
銀に近い金髪を後ろで束ね、
その立ち姿は気品と猛々しさを併せ持っていた。

名前は ライオネル(Lionel)
古代ルーヴェル王国守護騎士団の副団長にして、
セドリクスの同僚。

「約束の姫。どうか、あなたの剣と盾となることをお許しください」

ライオネルはエリシアの前に跪くと――
そっと、彼女の手を取り、
手の甲に口づけた。

「っ……!」

エリシアの脳内が真っ白になる。

手の甲に触れた唇は驚くほど熱く、
胸の奥でなにか知らない感情がじんわりと広がった。

(な、なに……? これ……?)