夜の闇はすでに深く、
森を包む風はどこか湿り、
ざわり……ざわりと不吉な音を運んでくる。
月明かりだけが頼りの中、
霊廟は静かに佇んでいた。
朽ちかけた石柱。
苔むした階段。
古代の紋章――ヴァルクリオン家の双頭の獅子――
が刻まれた重厚な扉。
その全てが、
まるで“千年前の亡霊”が潜んでいるかのように思わせた。
「……ここ、なの……?アルバレス様が言っていた霊廟……」
「間違いない。……だが、今は夜だ。霊廟は古代の魔術に包まれている。人ならざるものが徘徊している可能性も――」
セドリクスが言いかけた瞬間、
ひゅう……と冷たい風が吹き抜け、
木々がざわめいた。
エリシアの肩が、びくっと震える。
次の瞬間――
彼女は反射的に、
セドリクスの腕にぎゅっとしがみついた。
「……っ、ご、ごめん……! つい……」
「……っ……いや……構わない。だが……」
腕にしがみつかれた部分が熱い。
千年の眠りから醒めた古代の騎士は、
想定外の事態に明らかに動揺していた。
「(近い……あまりに近い……!)」
暗闇に慣れた銀の瞳が
まっすぐこちらを見上げてくる。
怯えた表情なのに、
どこか信頼し切った瞳で。
セドリクスの喉がごくりと鳴った。
森を包む風はどこか湿り、
ざわり……ざわりと不吉な音を運んでくる。
月明かりだけが頼りの中、
霊廟は静かに佇んでいた。
朽ちかけた石柱。
苔むした階段。
古代の紋章――ヴァルクリオン家の双頭の獅子――
が刻まれた重厚な扉。
その全てが、
まるで“千年前の亡霊”が潜んでいるかのように思わせた。
「……ここ、なの……?アルバレス様が言っていた霊廟……」
「間違いない。……だが、今は夜だ。霊廟は古代の魔術に包まれている。人ならざるものが徘徊している可能性も――」
セドリクスが言いかけた瞬間、
ひゅう……と冷たい風が吹き抜け、
木々がざわめいた。
エリシアの肩が、びくっと震える。
次の瞬間――
彼女は反射的に、
セドリクスの腕にぎゅっとしがみついた。
「……っ、ご、ごめん……! つい……」
「……っ……いや……構わない。だが……」
腕にしがみつかれた部分が熱い。
千年の眠りから醒めた古代の騎士は、
想定外の事態に明らかに動揺していた。
「(近い……あまりに近い……!)」
暗闇に慣れた銀の瞳が
まっすぐこちらを見上げてくる。
怯えた表情なのに、
どこか信頼し切った瞳で。
セドリクスの喉がごくりと鳴った。



