蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

エリシアは息を飲む。
眠る騎士たち……
自分のために、
千年もの間、待っている人たちがいる――?

胸の奥で、じんわりと熱が膨らむ。
不安だけではない、
初めて感じる“使命感”のようなもの。

「……行こう。霊廟へ」
エリシアはそっと、
しかし確かな声で言った。

セドリクスの表情が驚きと喜びと、
何か切なさを含んだ柔らかい微笑みに染まる。

「はい……あなたと一緒に」

彼は立ち上がり、
エリシアを守るようにそっと寄り添う。

避難所を出ると、
夕陽が赤く大地を染めていた。
ふたりの影が長く伸び、
重なるように揺れる。

「エリシア。これより先は、帝国の追手も出てくるだろう
危険な道になるが……どうか、私を信じてほしい」

「……うん。セドリクスがいるなら……私、きっと大丈夫」

言ってから、自分でも驚いた。
こんなに自然に、信じられるなんて。

セドリクスは一瞬だけ目を見開き、
その直後、
胸に秘めた想いが
にじむような優しい声音で答えた。

「……誓おう。二度と、大切な姫を失わぬと」

夕風が吹き、エリシアの銀髪を揺らす。
その光景に、
セドリクスの胸は締めつけられる。

――エルフリーデに重なる面影。
――だが、この胸の痛みは……
エリシアという“今”の少女のためのもの。

自分でもまだ整理できない想いを抱えながら、
二人は東の大地へと歩みだす。