蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

さらに奥へ進むと、
金属光沢のある装置が並ぶ秘密の部屋があった。
その中心に、丸い水晶の台座があり、
淡い光が脈動している。

「これは……?」

「記憶の盤(メモリアレコード)だ。
 王族のために、重要な記録を残す装置だ」

エリシアが手を伸ばすと、水晶が優しく光り、
空中に淡い蒼の映像が浮かび上がった。

そこには――
先ほども現れた銀髪の少女、
エルフリーデがいた。

『この記録を見ているあなたが、王家の血を継ぐ者なら――どうか聴いて。ルーヴェルは滅びる。けれど、私たちの誓いは未来に繋がる』

エリシアは息を飲み、
セドリクスは目を閉じてその声を噛み締めた。

『あなたはきっと、私の弟の子孫……
 どうか、生き延びてくれてありがとう』

エリシアの瞳から大粒の涙がこぼれる。

『誓約の守護騎士は、あなたを守るため眠りにつく。
 彼がそばにいる限り、王家の光は決して絶えない』

映像がふっと薄れて消えた。

エリシアは震える声で呟く。
「……エルフリーデ様……」

セドリクスは膝をつくように片手を胸に当て、
深く頭を下げた。

「姫……これが……あなたの物語の始まりです」

エリシアは涙の中で、
静かに――しかし揺るぎなく頷いた。

「……うん。行かなきゃ。
 私、やらなきゃいけないことがある気がする」

セドリクスは、
その表情に千年前の姫とは違う
“新しい意思”を見た気がした。
そして胸が痛いほどに、あたたかくなる。

(……姫。あなたはエルフリーデ様ではない。
 けれど――また新たに、私はあなたに心を奪われていく)