エリシアが読み上げた文字は、
壁の中央に刻まれた
巨大な碑文へと繋がっていた。
ふと、彼女の口から古代語がまた零れる。
「Elfriede…… frater… vita salvata…
(エルフリーデ……弟……生き延びた……?)」
エリシアは自分の口から出た言葉に目を見張る。
セドリクスはその言葉の意味に息を呑んだ。
「姫……その碑文……まさか……」
エリシアが震える指で、
碑文の下段を指し示す。
「“王女エルフリーデの弟は国外へ逃れ、血脈を隠して継がれる”……
……そう書かれてる……気がする」
セドリクスは深く頷いた。
「ならば……やはり。
あなたはエルフリーデ様の弟君アルバレス様の直系の子孫――最後の王家だ」
エリシアの呼吸が止まる。
「わ、私は……ただの孤児のはずで……
そんな……そんな大それた……」
セドリクスは静かに近づき、
彼女の肩にそっと手を置いた。
「あなたがどんな生まれでも、今ここにこうして立っている。それがすべての答えだ。
エルフリーデ様が守りたかった“未来”が……あなたなのだ」
エリシアは胸を押しつぶされそうなほどの感情に揺れた。
怖さ、驚き、そして――
不思議なほどの納得。
(……どうしてだろう。何か大事な場所へ帰ってきたような……そんな気持ちがする)



