蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

通路の奥は球形の大広間になっていた。
床は銀砂のように白く輝き、
壁一面には複雑な文様と文字が刻まれている。

エリシアは吸い寄せられるように歩み寄った。

――気づけば、指先で文字をなぞりながら
ぽつりと古代語を口にしていた。
「Lué… feri… erion…(ルエ……フェリ……エリオン……)」
「……これも読める、のか?」

セドリクスの声に、
エリシアははっとして振り向く。
「よ、読んでいるつもりは……ないの。
 でも……言葉が勝手に浮かぶ感じで……」

その様子がエルフリーデに瓜二つなので、
セドリクスは幻覚を見ているのかと
思ってしまった。
(……姫……)

胸の奥に、千年前の記憶が押し寄せる。
かつてエルフリーデとともに
この避難所を訪れた時――
彼女が微笑みながら同じ古代語を読み上げた姿。
優しい声。
銀の髪が揺れた光景。

全てが、目の前の少女と重なった。
「セドリクス? どうかしたの?」

「……いや。すまない。続けてくれ」