セドリクスは動けなかった。
さっきまで“今のエリシア”と旅をしていたはずなのに――
その一瞬だけ、
彼の目には“千年前の彼女”が重なって見えた。
同じ銀髪。
同じ瞳の色。
そして、古代語を口にした時の
――あの静かな気品。
まるで、
エルフリーデがそこに立っているかのようだった。
「……姫……」
自分でも気づかぬほどのかすれた声が漏れる。
呼ばれたエリシアが振り返る。
その表情は、無垢で、不安そうで
――確かに“エリシア”だった。
だがセドリクスの胸は、痛いほど軋む。
(……似ている。あまりにも……)
(だが、この娘は“別人”だ。分かっている……はずなのに……)
エリシアはうつむき、小さな声で言う。
「セドリクス……私、やっぱりおかしいのかな。
読めないはずの言葉が頭に浮かんできて……怖いよ……」
その震えを見た瞬間、
セドリクスの迷いは吹き飛んだ。
彼は迷いなく歩み寄り、
そっとエリシアの肩に手を置いた。
「大丈夫だ。恐れるな。
それは“王家の血”に刻まれた記憶――
お前が選ばれし者である証だ。」
「……証……?」
「そうだ。
お前は……千年前の我らの希望そのものだ、エリシア。」
エリシアの胸がまた少しだけ、
きゅっと鳴った。
理由はまだ分からない。
けれど、その声が不思議なほど、胸に温かく届く。
そして、セドリクスは一瞬だけ視線をそらしながら、
静かに微笑んだ――
さっきまで“今のエリシア”と旅をしていたはずなのに――
その一瞬だけ、
彼の目には“千年前の彼女”が重なって見えた。
同じ銀髪。
同じ瞳の色。
そして、古代語を口にした時の
――あの静かな気品。
まるで、
エルフリーデがそこに立っているかのようだった。
「……姫……」
自分でも気づかぬほどのかすれた声が漏れる。
呼ばれたエリシアが振り返る。
その表情は、無垢で、不安そうで
――確かに“エリシア”だった。
だがセドリクスの胸は、痛いほど軋む。
(……似ている。あまりにも……)
(だが、この娘は“別人”だ。分かっている……はずなのに……)
エリシアはうつむき、小さな声で言う。
「セドリクス……私、やっぱりおかしいのかな。
読めないはずの言葉が頭に浮かんできて……怖いよ……」
その震えを見た瞬間、
セドリクスの迷いは吹き飛んだ。
彼は迷いなく歩み寄り、
そっとエリシアの肩に手を置いた。
「大丈夫だ。恐れるな。
それは“王家の血”に刻まれた記憶――
お前が選ばれし者である証だ。」
「……証……?」
「そうだ。
お前は……千年前の我らの希望そのものだ、エリシア。」
エリシアの胸がまた少しだけ、
きゅっと鳴った。
理由はまだ分からない。
けれど、その声が不思議なほど、胸に温かく届く。
そして、セドリクスは一瞬だけ視線をそらしながら、
静かに微笑んだ――



