蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

眠りについたエリシアのまぶたの裏に、
淡い青光がひらめいた。

――風に揺れる銀色の髪。
――古代王城の白い回廊。
――誰かが、自分の名を呼ぶ声。

『……エルフリーデ様……』

少女は、振り返る。
そこに立っていたのは、
黒髪の騎士――セドリクス。

だが彼は今とは違い、
穏やかな少年の面影を残していた。
その眼差しは、ひたすらに優しくて……

(……これ、わたし? それとも……エルフリーデ?)

夢の中の自分は、彼に向かって笑った。

『……セドリクス。あなたに託すわ』

『殿下……私は――』

『きっと、約束の姫は現れる。
 どうか……どうかその子を、守って――』

光が弾け、景色が崩れる。

エリシアははっと目を開けた。
隣では、
セドリクスが静かに周囲を警戒して座っている。

夢の中で見た彼の姿と重なり、
胸の奥が熱くなる。

(……なんで、こんな……)

わけもなく苦しい。
理由がわからず、胸に手を当てる。

まるで、千年前の少女の感情が
自分の中に流れ込んできたような
――そんな、不思議な、切ない痛みだった。