蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

月明かりが長い廊下に差し込み、
エリシアの白いドレスが光を反射する。

部屋の扉の前で、
エリシアはセドリックの手をぎゅっと握る。

「……来てくれるよね?」

セドリックは迷わず扉に手をかけた。
「離すつもりはない。」

部屋に入ると、
星を模した燭台がほのかな光を揺らしていた。
精霊たちの祝福のように淡い光が舞い、
エリシアの銀髪が天の川のように輝いている。

エリシアは緊張に頬を赤く染めつつ、
セドリックの胸元にそっと指を添えた。

「ずっとあなたに触れたかったの……」

その言葉に、セドリックの呼吸が一瞬止まる。

「エリシア……そんな目で見られたら、我慢できない。」

静かに抱き寄せられ、唇が触れ合う。
それは昼間の慌ただしさを溶かし、
戦いや血の匂いとは無縁の、
ただふたりの愛だけが満ちる、
深く、ゆっくりしたキス。

エリシアは彼の首に腕を回し、
背伸びをして応える。
何度も、何度も、確かめるように。

「セドリック……好き。あなたが欲しい。全部、私に頂戴。」

甘くて、真っ直ぐで、逃げ場のない言葉。
普段のエリシアからは絶対に出てこないであろう
大胆すぎるおねだり。
だが今の彼女はまるで熱に浮かされているようで、
ドキリとしてしまうほど色っぽい。

セドリックはその言葉を胸に刻みながら、
彼女の額にそっと口づけた。

「……エリシア。私はお前のものだ。
 心も、命も、未来もすべて。」

そして、ふたりは星のような光に包まれ、
ゆっくりとソファに座り込み、
手を取り合いながら
互いの温度を確かめるように寄り添った。

彼がそっと彼女の髪に触れ、
エリシアはその胸に顔をうずめる。

キスは深まり、
抱擁は強くなり、
言葉より雄弁な愛が
その夜を満たしていった。

今夜だけは女王でも英雄でもない。
ただ、愛し合うひとりの女性と男性として。