……そんな、透くんにまた会えるなんて、思ってなかったのに。

小学校の近く、古びた看板の先に、見慣れた後ろ姿を見つけた。

「……うそ。ほんとに、いた……!」

声が出るほど驚いた。
こんな暑い中、わたしなにやってるんだって気持ちも吹っ飛んだ。

透くんは、夏休みの子供たちに紛れこむように、木造の古いお店にすっと入っていった。

「え……なに? 夏井(ナツい)商店……駄菓子屋……かな? こんなとこにあったっけ……」

驚いているうちに透くんの姿は、見えなくなってしまった。
そこから、時間だけが過ぎていく。

5分……10分……15分……暑い……。

「さすがに、出てくるでしょ……。ねえ、透くん、隠し通路とか使って帰ってないよね……?」

待ってるあいだに、通りすがりの小学生に二度見された。
さすがにこれは恥ずかしい。

「も、もう! ちょっとだけ覗くだけだからっ!」

言い訳するように呟きながら、思いきって駄菓子屋に入った。