寝殿を満たす静寂に包まれた深夜。
その片隅で、
ふと空気が光で揺らいだ。
それは影のように生まれ、
光のように実体を帯びた。
——白い鹿。
だがその角は、
雪蘭が以前見た時よりはるかに太く長く伸び、
雄々しい輝きを放っている。
それは幻ではない。
夢でもない。
ついに麒麟が、人に姿を見せたのだ。
麒麟は眠る雪蘭の枕元へ静かに近づく。
雪蘭の胸元には、
ほんの微かに、
昼と同じ金の光が脈打っている。
麒麟はその光に鼻先を寄せ、
まるで“祝福”を与えるように息を吹きかけた。
光は雪蘭の胸の奥深くへと吸い込まれ——
より強く、より確かな“器”となって満たされていった。
麒麟は満足げに目を細めると、
静かに闇に姿を消した。
翌朝、この宿命を知る者はまだ誰もいない。
ただひとつ確かなのは——
雪蘭が幻獣と人を繋ぐ、
新たな媒介者となったこと。
そして麒麟は、
凌暁を“選びつつある”ということだ。
その片隅で、
ふと空気が光で揺らいだ。
それは影のように生まれ、
光のように実体を帯びた。
——白い鹿。
だがその角は、
雪蘭が以前見た時よりはるかに太く長く伸び、
雄々しい輝きを放っている。
それは幻ではない。
夢でもない。
ついに麒麟が、人に姿を見せたのだ。
麒麟は眠る雪蘭の枕元へ静かに近づく。
雪蘭の胸元には、
ほんの微かに、
昼と同じ金の光が脈打っている。
麒麟はその光に鼻先を寄せ、
まるで“祝福”を与えるように息を吹きかけた。
光は雪蘭の胸の奥深くへと吸い込まれ——
より強く、より確かな“器”となって満たされていった。
麒麟は満足げに目を細めると、
静かに闇に姿を消した。
翌朝、この宿命を知る者はまだ誰もいない。
ただひとつ確かなのは——
雪蘭が幻獣と人を繋ぐ、
新たな媒介者となったこと。
そして麒麟は、
凌暁を“選びつつある”ということだ。



