そうして無事に完成した神殿では、
盛大な落成式が執り行われることとなった。
中央の麒麟殿を中心に、
各方位殿の前には
それぞれの幻獣を象徴する彫刻や聖具が整えられている。

式には、
凌暁と雪蘭、そして二人の息子である総領の君も出席。
雪蘭は穏やかに微笑み、
息子の小さな手を握る。
息子はまだ小さいながらも、
父と母の腕に抱かれ、
天啓の神殿の壮麗さに目を輝かせていた。

凌暁は息子を抱き上げ、周囲に深く礼をする。
「この神殿が末永く、霜華国と同盟国の平安を見守ることを祈ります。」
その姿に、参列者たちは心を打たれ、
静かに敬意を表した。


落成式の最中、
各殿の上空に光の帯が走る。
青龍の水色の光は、清らかな流れのように境内を包む。
白虎の銀白の光は、力強く天を裂くように輝く。
朱雀の赤橙の光は、炎の舞のように会場を照らす。
玄武の深緑の光は、大地の温もりを感じさせる。
中央の麒麟殿には黄金の光が天を貫き、式典の中心を輝かせる。

光の中に実は五幻獣の姿があり、
参列者たちを見守っていたのだが、
それに気づいているのは雪蘭だけ。
今回は凌暁には見えていないようだ。
やはり幻獣は神聖なもの。
そう易易とは姿を見せてくれないのだろう。

雪蘭は息子の肩に手を回し、優しく囁く。
「あなたも、きっと幻獣たちに見守られて生きるのね……」
凌暁は雪蘭の手を握り、目を細めて微笑む。
「そうだ。我ら家族は、これからも彼らと共に歩む。」