「篠原くんが言った通り、静かで薄暗いし小汚いし、怖いのもわかる。
けど、一人になりたい時は逆にそれがちょうどいいの。
何も言わずに寄り添ってくれるっていうか。
変に明るく照らして欲しくなんかないの。
そういうときって、気持ちをわかって欲しいだけなの。
だから月階段が好き…って、」
ついつい話してしまったけど、「悲劇のヒロイン気取りだ」と思われるだろうか?
「やっぱり、俺と似てんじゃん。
放課後ここ集合ね」
…へ、?
「お前と話したい。似たもの同士、さ?」
じゃあな、と彼は立ち去った。
「明日、から…!?」
ひとりだけの静かな五分は、どうやら奪われるらしい。
でも不思議と、嫌な気分ではなかった。



