プルルルルルル、プルルルルルル…
なに、この音。
今私は気持ちよく寝てるのに──────
「…やば!」
目を薄らと開ければ、そこは家とは到底思えない景色だった。
名前すら見ずに電話に応答すると、「凛果!!」と大きな母の声がスマートフォンから聞こえる。
「今どこにいんの、連絡もよこさないで!!!!」
不味い、母を怒らせてしまった。
「ごめん、学校で寝ちゃってて…」
事実を話す以外に方法が思い浮かばず、私は正直に寝たことを告白する。
「…はぁ、早く帰ってきてよね。心配した時間返してよ」
「わかった、」
その一言すら言いおわるのを待ってくれず、私はLINEの電話履歴をただ眺めていた。



