「せんせのケチ。せんせにとっては余計なもんでも、俺にとったら大事なもんなのに」
「ケチとかじゃない、校則には従うもんだ」
「……へーい」
それから数分押し問答を繰り返していたけど、ようやく諦めたのか伊狩くんはさっさと校舎に入っていった。
伊狩くんの背を呆れたように見つめている先生は、小さく息を吐き出して何かを口にする。
「伊狩、本当に――……」
でもここからじゃはっきり聞き取れなくて、先生と同じように伊狩くんを目で追いかけることしかできなかった。
まぁ、校則破るような人だから心配することないだろうけどっ。
そう思うように頷いた時、何の前触れもなく挨拶運動をしていた女子生徒たちの黄色い悲鳴が辺りに響き渡った。
「あ! ねぇねぇっ、宏名くん来たよっ!」
「嘘っ⁉ 今日は撮影あって来れないかもって言ってたのに、超ラッキーじゃん!」
「今日もビジュ大優勝すぎる……眼福だよ~っ」
“宏名くん”。そう呼ばれて周りを一瞬にしてざわつかせる彼は、校門からにこやかに前庭へとやってくる。
「ケチとかじゃない、校則には従うもんだ」
「……へーい」
それから数分押し問答を繰り返していたけど、ようやく諦めたのか伊狩くんはさっさと校舎に入っていった。
伊狩くんの背を呆れたように見つめている先生は、小さく息を吐き出して何かを口にする。
「伊狩、本当に――……」
でもここからじゃはっきり聞き取れなくて、先生と同じように伊狩くんを目で追いかけることしかできなかった。
まぁ、校則破るような人だから心配することないだろうけどっ。
そう思うように頷いた時、何の前触れもなく挨拶運動をしていた女子生徒たちの黄色い悲鳴が辺りに響き渡った。
「あ! ねぇねぇっ、宏名くん来たよっ!」
「嘘っ⁉ 今日は撮影あって来れないかもって言ってたのに、超ラッキーじゃん!」
「今日もビジュ大優勝すぎる……眼福だよ~っ」
“宏名くん”。そう呼ばれて周りを一瞬にしてざわつかせる彼は、校門からにこやかに前庭へとやってくる。

