「月森と周防ってデキてんの……? リア充?」

「そう見える? なら嬉しいなー」

「で、デキてないです! 伊狩くん勘違いしないでくださいっ、私と周防くんはただの顔見知り、です!」

 口元に手を当て瞬きを重ねる伊狩くんに向かって、調子に乗った周防くんが更に言葉を続ける。

 私はそれを慌てて否定して、首をブンブン左右に振った。

 ちょっと隙を見せれば、すぐそんなことを言って……! 周防くんと付き合うなんて絶対ないのに!

「顔見知りって寂しいこと言うじゃん。この前ネクタイ結んでくれたのにー」

「……同棲?」

「してません!!」

 ダメだ、これ以上周防くんに喋らせたら誤解だらけになる……!

 咄嗟に思った私は一層声を大きく否定した後、周防くんが口を開かない内に名乗った。

「ご、5組の月森こよねです! よろしくお願いします!」

「“よろしくするつもりないけど”」

「す、周防くんはもう黙っててください!」

「……意外と腹黒」

「佛木くんまで……っ! 違います、断じてそんなこと思ってないですから!」