「一人で何楽しそうなことしてんの」

「……夢かなと思って」

「あはは、月森サンにとったら天敵ばっかだもんね。でも残念、現実だよ」

「一番の天敵は周防くんなので早急に帰ってくれたりとか……そもそも勝手に来てるわけだし」

「花厳くんに聞いたらいいって言ってくれたよ?」

 先生、何てことを言ってくれたんですか。この人、天才なんだから講座に来る必要ないじゃないですか!

 気を緩めたら感情に任せて叫んでしまいそうになり、くっと唇を噛んで我慢する。

 というか先生、遅れてる? とっくに講座の開始時間なのに。

「……花厳先生、遅くない?」

「あー、確かにな。月森か鳰か周防、せんせの居場所知らね?」

「花厳くんなら今日のプリントの印刷ミスったから遅くなるって言ってたよ。15分くらいかかるってー」

 私と同じことを思っていた佛木くんが口にし、伊狩くんもそれに頷く。

 それに答えたのは周防くんで、先生に怒っていた自分をちょっと恥じた。

 先生も大変だな……できるだけ早めに来てほしい気持ちはあるけど。