……――そしてどうやら、神様は意地悪らしい。

 一日かけて積もった疲れがどっと押し寄せてくるのを感じている私の視界に飛び込んできたのは、あまりにも見覚えのある顔ぶれで。

「お前らも花厳せんせに言われてきたのかー? えっと……月森と鳰、だっけ?」

「何で、鳰宏名がここに来てんだよ……」

 椅子の背もたれに腕を乗せ、本来とは真逆の座り方をしている伊狩くん。

 持つのも一苦労そうな分厚い本を読んでいたらしい佛木くん。私の隣には鳰くんだっている。

「――ツイてないね、月森サン。25日だけとはいえ、嫌ってる奴らと一緒にお勉強だなんて」

「周防、くん……」

「まぁ俺はただの通りすがりだけど。でも月森サンがいるならお勉強していこうかな」

 音もなく背後からやってきた彼は、私にだけ聞こえるよう声を落として言う。

 驚いて反射で見上げると、そこには不敵に笑う周防くんがいて。

 その瞳は、いつにも増して楽しそうに揺らめいていた。