学園の困り者くんたちに好かれて困ってます!

 私が努力している姿が好き、けれど自分はできないから私にしていてほしい。そう考えればないものねだりって考えはあながち間違いじゃない気がしてきた。

 でもそれって結局どう救いに繋がるんだろう。私が努力をしたところで、周防くんにメリットはないのに。

「……織くんみたいな話だな」

「え? 先輩、今何て?」

「へ⁉ 口に出ちゃってた⁉」

「まぁわりと。よく聞こえなかったですけど」

「た、ただの独り言だから気にしないでほしいな。あはは……」

 独り言……本当にそれだけならいいけど、先輩も先輩で心配だ。心なしか無理をしているように見えるし、先輩のほうがいつか気疲れで倒れそう。

 こういう人ほど自分の心配をしないんだよなぁ……ブーメランかもしれないけど。

 何かを隠すような苦笑を浮かべる先輩を見上げながら、悟られないように胸中でそう思った。



 六時間目の終わりを告げるチャイムが響くと同時に、わっと騒がしくなる教室。

 いつにも増してガヤガヤしているのにはもちろん理由があり、周りが耳をつんざくような黄色い悲鳴で埋め尽くされる。