「そんな、利用だなんて――」

「月森さんの力になりたいんだ。話を聞くことしかできないと思うけど……あはは」

 照れくさそうに頬を指先で掻いた先輩に、きゅっと心臓が掴まれる。

 嬉しいな、そう言ってくれるの。どちらかと言えば私は『頼って!』と言うほうの人間だから、不覚にも先輩の言葉に泣きそうになった。

 そもそも『頼っていいよ』なんて言われたことなんて、あったっけ……。

「じゃあ、少しだけいいですか」

「! うんっ」

「先輩はもし……友達とか周りの人に『君に救いを求めてる』なんて言われたら、どういう意味だと思いますか」

 自分で言葉にしても、何を言っているのかいまいち理解できない。

 こんな難しいこと相談されても困るよね、いくら先輩が勉強できる人だからって。

 けれど先輩の厚意を無駄にしたくなくて、じっと返事を待つ。

 案の定先輩の表情は難問を目の前にした苦いもので、うーんと考え込む仕草を見せた。

「それは、実際に言われたこと?」

「……まぁ」

「そっか……んー、難しいね」