『……気のせい、ですよ。私は大丈夫ですから』

 一年前のちょうど今頃。委員会や係の役員の入れ替えがあり、ただの風紀委員から副委員長になってすぐのこと。

 その頃は少し……お母さんが荒れていて、頻繁に家に帰ってきては私に当たってくる日々を過ごしていた。

 しかも成績に大きく響くテストや学校祭の準備も重なって、体力も精神も日に日にやられていた。

 それでも弱い自分を外で見せるのは惨めだなって考えで、疲れを無視していたから……気付いたら倒れてた。

『……せん、ぱい?』

『月森さん……っ! よかった……いや、全然よくないけど……よかっ、た……』

 あの時先輩にはすごく迷惑をかけてしまった。委員会の会議中にぶっ倒れてしまった私を、先輩がわざわざ保健室まで運んでくれたらしい。

 私に対して心配性になったのはそれからだったと思う。目の前で人が倒れたら誰でもそうなるんだろうなって想像がつくから、余計に申し訳ない。

「もし何か困ってることがあれば、遠慮なく相談してほしい。僕のことは利用してくれて構わないから」