しきりに「花厳くんまだかなー」と呟く彼に、つい疑問を零す。
「その、どうして“花厳くん”って呼んでるんですか? 仮にも先生なのに……」
「花厳くんは花厳くんだから」
「答えになってないです」
「えー、じゃあ何て言ってほしいの」
扉に手をかけた周防くんが不意に振り返り、夜空のような瞳と視線がぶつかった。
瞬間、思わず息を呑む。
……周防くんの目、真っ黒だ。元々目の色が、って話じゃなくて……顔は笑ってるのに目は笑ってないって感じ。
黒のクレヨンで塗りつぶされたような感情のこもっていない瞳に、反射的に謝っていた。
「ごめ、ん」
「え、何で謝んの?」
「……周防くんが聞かれたくないこと、だと思ったから、です」
何か、彼の禁忌に触れてしまったようで。
ズカズカ聞きすぎたなと反省していると、周防くんの影が私に落ちる。
そのまま周防くんは私の前にしゃがみ込み、クスッといたずらっぽく笑った。
「ほんっと真面目だね、月森サン。損な性格してる」
「えっ……きゅ、急に何ですか!」
「その、どうして“花厳くん”って呼んでるんですか? 仮にも先生なのに……」
「花厳くんは花厳くんだから」
「答えになってないです」
「えー、じゃあ何て言ってほしいの」
扉に手をかけた周防くんが不意に振り返り、夜空のような瞳と視線がぶつかった。
瞬間、思わず息を呑む。
……周防くんの目、真っ黒だ。元々目の色が、って話じゃなくて……顔は笑ってるのに目は笑ってないって感じ。
黒のクレヨンで塗りつぶされたような感情のこもっていない瞳に、反射的に謝っていた。
「ごめ、ん」
「え、何で謝んの?」
「……周防くんが聞かれたくないこと、だと思ったから、です」
何か、彼の禁忌に触れてしまったようで。
ズカズカ聞きすぎたなと反省していると、周防くんの影が私に落ちる。
そのまま周防くんは私の前にしゃがみ込み、クスッといたずらっぽく笑った。
「ほんっと真面目だね、月森サン。損な性格してる」
「えっ……きゅ、急に何ですか!」

