それからあっという間に時間は過ぎて、気が付けば講座に向かう時間となっていた。

「せっかくだし選択教室まで一緒に行くか。月森、方向音痴だって日誌に書いてただろ?」

「いや、さすがにもう覚えましたよ」

「ははっ、それは何より」

 そう言いながらも、せっかくならと先生の後をついていくようにして選択教室へ。

 途中澄雨ちゃんの教室を覗いたけど、既に帰ったようで姿はなかった。

 澄雨ちゃん、今日は嫌なこと言われてないかな……嫌がらせとかされてないかな。

 小学生時代の一件から私は澄雨ちゃんに対して過保護になってしまい、常日頃澄雨ちゃんのことばかり考えている。

 こんなこと澄雨ちゃんに知られたら気持ち悪がられそうだけど……。

「なぁ、月森」

「はい?」

「最近……澄雨は学校で泣いたりしてないか?」

 人気が全くと言っていいほどない第三校舎に移って数秒後、先生が不安そうな声を零した。

 そんな先生に私はいつものように、冷静に事実を伝える。

「私が知る範囲では大丈夫だと思います。2年になってもう半年以上経ちますけど、笑う頻度も増えてますし」