「昼休憩に入ったらすぐ、進路相談室に来てくれないか?」

「……成績のこと、ですか?」

「分かってるなら話は早いな。月森も大変だと思うが、今後の見通しのために話をしたくてな」

「分かりました、休憩入ったらすぐに行きます」

「あぁ、悪いな」

 ……いつか、話はされると思っていた。

 私は今、好成績を維持することで学費を免除してくれる特待生制度を利用している。

 理由は父方の祖父母にお金の苦労をかけてしまっているから。それもこれも、お母さんが家に帰ってきてくれないせいで。

 うちはいわゆる母子家庭だけど、お母さんは外に恋人を作っていて家には滅多に帰ってこない。

 一カ月に一度帰ってくればいいほうで、その時にいくらかお金は置いていってくれる。

 けれどそれで足りるはずもなく、不足分は父方の祖父母に工面してもらっているんだ。

 お母さん側の祖父母とは会ったことはなくて、お母さんが絶縁したからと聞いている。

 だから父方の祖父母に迷惑をかけたくない一心で、中学は特待生制度のあるここを選んだんだ。