嘘と欲求

【ガチ? 犯罪者予備軍?】

【もし本当だったらかなり印象変わるんだけど】

【信じていいのこれ】

【つまり人を殺してみたいってこと?】

【犯罪者予備軍って言われたら、なんかそう見えてきたわ】

【殺人鬼は人を殺す前に猫を殺すことがあるんだって。猫写ってるし、これは繋がったね】

【証拠がないから信用できない】

【言われてよく見てみたら、目が据わってるように見えない? 後で猫殺すつもりでいるとか?】

【顔良すぎでムカつくから、それくらいの欠点があった方がちょうどいいかもな】

【同級生なら、名前とかどこの学校に通ってるとか分かるよね?】

【映ってる猫は生きてるんだろうか】

【この人の言ってることって本当? なんか確定みたいな雰囲気だけど】

 雲行きが怪しくなっていた。流れが悪い方へ進んでいると言わざるを得なかった。全身の熱が徐々に冷めていく。夏なのに寒いくらい体温が下がっているようで、翔真は思わず自分を掻き抱いた。

 大丈夫、大丈夫、決して大事にはならない。いずれ静かになる。いずれ多くの人の興味は他へ逸れていく。時間が解決してくれる。そう言い聞かせても、突然の嵐に見舞われそうな嫌な予感は拭えなかった。

 余裕ぶって何も備えていなかったために、先の未来が訪れるのが途端に恐ろしくなった。伊織の中学の同級生だと自称する人物の言葉が、確実に嘘だと言い切れるほど、翔真は伊織の内面を知らない。

 伊織が殺人欲求を持っているなど嘘だと思う。嘘であってほしい。絶対、嘘だ。でも、もし、事実だったら。翔真はごくりと唾を飲んだ。