自分が読みたいかどうか、読めるかどうかが二の次になっている翔真は、棚から抜いた本をそのまま持ち歩いた。購入する本の第一候補である。
他にも何か、ぴったり嵌まるものがあれば候補にしようと、目に留まった本を積極的に手に取ってみるが、どれにも心のセンサーは反応しなかった。漏れなく棚に戻っていく。
結局、最終候補は一冊のみで、数冊の中から一冊を選別する必要もなく決定だった。伊織が面白いと言った『殺戮にいたる病』を購入する。読めばきっと、伊織と同じ土俵に立てるはずだ。
商品を持ってレジへ行き、今回もカバーをお願いして会計を済ませた。本と貴重品を抱え、書店を後にする。
次はどこへ行こうか。もう帰ろうか。翔真は駐車場を出てから分岐している道を順に見た。大人しく帰宅しようか。もしくは、公園にでも行ってみようか。バズっている写真を撮った公園へ。
駐車場の出入り口の隅っこで唸る翔真は、一台の車が入ってくるのを目にした。このまま答えが出るまで突っ立っているのも変に見られると思い、スマホを触ってカモフラージュする。
癖でSNSを開くと、悩んでいた行き先の選択肢が一瞬で吹き飛んだ。翔真は考えるのをやめ、画面にのめり込む。数字は安定して伸びている。
ほくほくしながらスクロールした。ハイになった。いいねやコメントを吸って、ハイになった。吸って、ハイになった。吸って。吸って。吸って。吸っ──
異物が、紛れ込んだ。息が止まった。指が止まった。電池が切れたようにピタッと止まった。興奮していたところに冷水を浴びせられた感覚。
全身が硬直する中、目だけが平然と動き回る。画面に映っている文章を読み進める。心地良い音を鳴らしていた心臓が、不吉な音を奏で始める。
他にも何か、ぴったり嵌まるものがあれば候補にしようと、目に留まった本を積極的に手に取ってみるが、どれにも心のセンサーは反応しなかった。漏れなく棚に戻っていく。
結局、最終候補は一冊のみで、数冊の中から一冊を選別する必要もなく決定だった。伊織が面白いと言った『殺戮にいたる病』を購入する。読めばきっと、伊織と同じ土俵に立てるはずだ。
商品を持ってレジへ行き、今回もカバーをお願いして会計を済ませた。本と貴重品を抱え、書店を後にする。
次はどこへ行こうか。もう帰ろうか。翔真は駐車場を出てから分岐している道を順に見た。大人しく帰宅しようか。もしくは、公園にでも行ってみようか。バズっている写真を撮った公園へ。
駐車場の出入り口の隅っこで唸る翔真は、一台の車が入ってくるのを目にした。このまま答えが出るまで突っ立っているのも変に見られると思い、スマホを触ってカモフラージュする。
癖でSNSを開くと、悩んでいた行き先の選択肢が一瞬で吹き飛んだ。翔真は考えるのをやめ、画面にのめり込む。数字は安定して伸びている。
ほくほくしながらスクロールした。ハイになった。いいねやコメントを吸って、ハイになった。吸って、ハイになった。吸って。吸って。吸って。吸っ──
異物が、紛れ込んだ。息が止まった。指が止まった。電池が切れたようにピタッと止まった。興奮していたところに冷水を浴びせられた感覚。
全身が硬直する中、目だけが平然と動き回る。画面に映っている文章を読み進める。心地良い音を鳴らしていた心臓が、不吉な音を奏で始める。



