文字の情報量が多く、キャパを超えつつあるのを感じていた。あらすじを読んでも頭に入ってこない。本の中身が徐々に暗号化されているように見える。読めない自分にあっという間に戻っているかのようだった。少し疲れているようだ。選ぶだけなのに疲れてしまうようだ。
翔真は暫し本から意識を逸らそうとスマホを見ることにした。本に関して調べているふりをして、当たり前のようにSNSを開く。いいねの数を見て、エネルギーを補給する。にやついた顔をした仮面がぴたりと貼り付いてしまう。元気になった。また何でもできそうなふわふわした気分になった。いいね。いいね。いいね。ハッピー。
高揚する翔真の全身を、快感が駆け巡っていく。SNS上のいいねは、一度でも使うとやめられなくなる麻薬のようだった。貰えなければ気分が下がり、貰えば気分が上がる。いいね一つで、翔真の情緒は左右される。
かっこいい。イケメン。顔良すぎ。親友にしている伊織を褒めちぎるコメントに調子が乗る翔真は、良い気持ちでスマホを閉じ、改めて本選びを再開した。カケルとしての投稿は、まだしなかった。
正面の売り場に気になる本はなさそうだ。翔真は通路の方へ移動した。作家順にずらりと並んでいる棚を見て、一冊のタイトルが頭の片隅に浮かんだ。探す。すぐに見つかる。指先で触れる。手にする。妙にしっくりとくる。他のどの本を触っても、心には嵌まらなかったのに。
記憶に残っている本を見下ろす。違うとは思わない。もしかしたら、これなのかもしれない。翔真が求めている本は。
伊織から、初心者にはハードルが高いと言われたが、読んだ本人は面白いと言っていた小説。伊織が読んだ小説。十分買う理由になる。伊織が言っているのだから。信頼している親友が言っているのだから。間違いないはずだ。
これをどうにか最後まで読み切れば、伊織が見た世界を自分の目でも見られる。間接的に伊織と繋がれる。伊織の趣味嗜好といった欲しい情報を得られる。
翔真は暫し本から意識を逸らそうとスマホを見ることにした。本に関して調べているふりをして、当たり前のようにSNSを開く。いいねの数を見て、エネルギーを補給する。にやついた顔をした仮面がぴたりと貼り付いてしまう。元気になった。また何でもできそうなふわふわした気分になった。いいね。いいね。いいね。ハッピー。
高揚する翔真の全身を、快感が駆け巡っていく。SNS上のいいねは、一度でも使うとやめられなくなる麻薬のようだった。貰えなければ気分が下がり、貰えば気分が上がる。いいね一つで、翔真の情緒は左右される。
かっこいい。イケメン。顔良すぎ。親友にしている伊織を褒めちぎるコメントに調子が乗る翔真は、良い気持ちでスマホを閉じ、改めて本選びを再開した。カケルとしての投稿は、まだしなかった。
正面の売り場に気になる本はなさそうだ。翔真は通路の方へ移動した。作家順にずらりと並んでいる棚を見て、一冊のタイトルが頭の片隅に浮かんだ。探す。すぐに見つかる。指先で触れる。手にする。妙にしっくりとくる。他のどの本を触っても、心には嵌まらなかったのに。
記憶に残っている本を見下ろす。違うとは思わない。もしかしたら、これなのかもしれない。翔真が求めている本は。
伊織から、初心者にはハードルが高いと言われたが、読んだ本人は面白いと言っていた小説。伊織が読んだ小説。十分買う理由になる。伊織が言っているのだから。信頼している親友が言っているのだから。間違いないはずだ。
これをどうにか最後まで読み切れば、伊織が見た世界を自分の目でも見られる。間接的に伊織と繋がれる。伊織の趣味嗜好といった欲しい情報を得られる。



