まっすぐ文庫売り場を目指し、伊織を観察していた時には眼中になかった商品を凝視する。正面に平積みされた本は、新刊やベストセラー、書店独自のランキングに載っている作品、映画化作品など、売れ筋が中心だった。『成瀬は天下を取りにいく』も積み重なっていた。
同じ本が家にあるのに思わず手に取った翔真は、パラパラとページを捲った。何気なく文章を読むと、前後の展開が頭の中に流れてきた。翔真は安堵する。自分は間違いなく一冊の小説を読めたのだと実感する。
本を戻し、再び様々な色合いの表紙を眺めた。黒目が一周する。ありすぎて、何から手をつければいいのか迷ってしまった。ひとまず目についたものを取ってみたが、タイトルもあらすじもあまり胸に響かない。
今の自分が求めているのはこれではないのだろう。初心者のくせしてまるで上級者のような目線で分析する翔真は、触れたばかりの本を静かに戻した。
その後も目が合った本を見ては、何様のつもりなのだろう、上から目線で毒を吐いて選別し続けた。違う。これではない。求めていない。興味が湧かない。読んでみたいとまでは思わない。
違う、違う、と分かっているかのように本を見ているが、見ているだけで、実際は何も分かっていなかった。面白そうなのかどうなのかも。自分が何を読みたいのかも。
たった一冊読み切っただけの翔真には、本を選ぶ基準が確立していない。いろいろ読んで好きなジャンルを見つけるのが手っ取り早い方法なのかもしれないが、懐事情もあり、何でもかんでもは買えなかった。
読書家の伊織は、何を基準に選んでいるのだろう。これだけ大量の本がある中、どのようにして、読んでみたい一冊を見つけているのだろう。知りたくなったが、聞けなかった。伊織はいない。いても自分から話しかけるのは容易ではない。SNSの投稿が伸びていることによるテンションの高さを持ってしても、伊織には負けてしまう。
気になる本が見つからず、だんだん自分が何を求めているのかも分からなくなってきた。意気揚々と買うつもりで来たが、この調子では何も買えない。
同じ本が家にあるのに思わず手に取った翔真は、パラパラとページを捲った。何気なく文章を読むと、前後の展開が頭の中に流れてきた。翔真は安堵する。自分は間違いなく一冊の小説を読めたのだと実感する。
本を戻し、再び様々な色合いの表紙を眺めた。黒目が一周する。ありすぎて、何から手をつければいいのか迷ってしまった。ひとまず目についたものを取ってみたが、タイトルもあらすじもあまり胸に響かない。
今の自分が求めているのはこれではないのだろう。初心者のくせしてまるで上級者のような目線で分析する翔真は、触れたばかりの本を静かに戻した。
その後も目が合った本を見ては、何様のつもりなのだろう、上から目線で毒を吐いて選別し続けた。違う。これではない。求めていない。興味が湧かない。読んでみたいとまでは思わない。
違う、違う、と分かっているかのように本を見ているが、見ているだけで、実際は何も分かっていなかった。面白そうなのかどうなのかも。自分が何を読みたいのかも。
たった一冊読み切っただけの翔真には、本を選ぶ基準が確立していない。いろいろ読んで好きなジャンルを見つけるのが手っ取り早い方法なのかもしれないが、懐事情もあり、何でもかんでもは買えなかった。
読書家の伊織は、何を基準に選んでいるのだろう。これだけ大量の本がある中、どのようにして、読んでみたい一冊を見つけているのだろう。知りたくなったが、聞けなかった。伊織はいない。いても自分から話しかけるのは容易ではない。SNSの投稿が伸びていることによるテンションの高さを持ってしても、伊織には負けてしまう。
気になる本が見つからず、だんだん自分が何を求めているのかも分からなくなってきた。意気揚々と買うつもりで来たが、この調子では何も買えない。



