読めないと思っていても、腹を括ってその気になれば、暗号に見えていた活字が解読できるようになるのだと知った。解読した文章は、翔真にエンタメを届けてくれた。読書による束の間の現実逃避は、心に安寧を齎してくれた。
胸を覆う興奮を叫べる場所は、SNSしかない。翔真は本の間に指を挟み、片手でスマホを引き寄せて操作した。栞など持っていなかった。書店にある無料の栞も取っていなかった。本に接着されている栞紐の存在にも気づいていなかった。一旦吐露したら、また読むつもりでいた。
本を読む前と後で、やはり変化のない数字が否応なしに目に入った。光が差していた気持ちに暗幕がかかりそうになる。翔真は襲いかかってくる負の感情に打ち勝とうと、努めて明るい調子で稚拙な文章を綴った。
【親友に勧められた小説、『成瀬は天下を取りにいく』をちょっとだけ読んでみた。普段本を読まないからちゃんと読めるのか心配だったけど、いざ読んでみたら想像以上に面白くて夢中になった。これからもう少し読む】
投稿。どこかの誰かが反応してくれるのを願って、翔真はアプリを閉じた。その際また目にした変わり映えのない数字に歯噛みしてしまいそうになったが、別にいいねがゼロなわけではないと言い聞かせてどうにかやり過ごした。
指を挟んでいたページを開く。気分が落ち込み苛立つような事柄は考えないようにする。読書をするという新たな気の紛らわし方を知った翔真は、ゆっくりと文字を追い、物語の中に思い切り飛び込んだ。
胸を覆う興奮を叫べる場所は、SNSしかない。翔真は本の間に指を挟み、片手でスマホを引き寄せて操作した。栞など持っていなかった。書店にある無料の栞も取っていなかった。本に接着されている栞紐の存在にも気づいていなかった。一旦吐露したら、また読むつもりでいた。
本を読む前と後で、やはり変化のない数字が否応なしに目に入った。光が差していた気持ちに暗幕がかかりそうになる。翔真は襲いかかってくる負の感情に打ち勝とうと、努めて明るい調子で稚拙な文章を綴った。
【親友に勧められた小説、『成瀬は天下を取りにいく』をちょっとだけ読んでみた。普段本を読まないからちゃんと読めるのか心配だったけど、いざ読んでみたら想像以上に面白くて夢中になった。これからもう少し読む】
投稿。どこかの誰かが反応してくれるのを願って、翔真はアプリを閉じた。その際また目にした変わり映えのない数字に歯噛みしてしまいそうになったが、別にいいねがゼロなわけではないと言い聞かせてどうにかやり過ごした。
指を挟んでいたページを開く。気分が落ち込み苛立つような事柄は考えないようにする。読書をするという新たな気の紛らわし方を知った翔真は、ゆっくりと文字を追い、物語の中に思い切り飛び込んだ。



