嘘と欲求

【読書が好きな親友が勧めてくれた小説。読みやすいと思うと言われたけど、本に親しんでない俺でも読めるのか少し不安】

【親友との帰り道の途中で、人懐っこい猫に出会した。イケメンと猫の画はかなり良すぎた】

 嘘と真実を混ぜた画像付きの二つの投稿には、ぽつぽつといいねが届いていた。久しぶりに貰ったいいねである。気を抜けば口元が緩んでしまうほど翔真は歓喜した。嘘を吐いている罪悪感は日に日に薄れていっていた。

 やはり、画像を載せると見てもらいやすい。もしかしたらこのままいいねが増え続けるかもしれない。安直な妄想が脳内を駆け巡るが、現実は煌びやかなものではなかった。

 小指にも満たない小さなアカウント。なかなか大勢には見つけてもらえない。伊織にもスポットライトが当たっている様子はない。伊織は決して、片手で数えられるくらいのいいねで済む容姿ではなかった。

 足りない。足りない。全然、足りない。伊織の顔は、親友の顔は、その程度などではない。親友はイケメンだと常日頃から呟いている身としては、イケメンだとちやほやされなければ納得できない。埋もれてしまっては、翔真の、ネット上の人たちにとってはカケルの、美的感覚が狂っていると思われる。見る目がないと思われる。伊織はイケメンだ。確実にイケメンだ。だから、親友にしたのだ。顔の良い親友がいる。それだけで、ステータスになるのだ。

 投稿後の初動は良くなかったとしても、数日後にいきなり人目に浮上するパターンがないわけではなかった。不満を覚えても、ここは気長に待つ他ない。必ず伊織が、伊織と猫が、大量のいいねを引き寄せてくれるはずだ。

 学校は夏休みに突入していた。予定のない翔真は家で、とりわけ自室でだらだらしてばかりいる。伊織の家を知っていれば散歩を装って見に行けたが、残念ながら写真を撮った公園までの情報しかない。その先に続く道は途絶えている。どこまで歩いてどこで曲がり、どこの家がそうなのか分からない。