「にしはらー、どこにいるー? もう授業始まってんだけどー」
突然聞こえた大声に、口から心臓が飛び出そうになった。クラスの体育委員の声だ。いつまでも顔を出さない自分を探して呼んでくるよう教師に言われたのかもしれない。
一瞬のうちに分析しながらも、翔真は焦っていた。絶対教室は確認するはずだ。何をしていたのか知られたら平和に生きていけなくなる。
手にしていたスマホを制服の下に隠し、外したカバーを大慌てで元に戻す。上手くいかない。挟めばいいだけの状態ではなかった。カバーの内側の、紙と紙の間に表紙を差し込んでいるような形だった。動揺している上にカバーを付けるのは初めてであるため、全く持って手際よくできない。
カバー如きに悪戦苦闘している間にも、足音は徐々に近づいてくる。やっとの思いで付け直したが、上手くできていないかもしれない。確認する時間も修正する時間もない。翔真は自分を信じ、足早に移動した。伊織の机の中に本を押し込み、立ち上がったところで体育委員が教室に顔を覗かせた。
「あー、まだここにいたのかよ。早く来いって」
翔真を呼び寄せる体育委員は、何をしていたのかなどは聞かなかった。どうでもいいのかもしれない。多分、そうだ。地味で目立たない根暗な翔真の行動に、興味を持つ人がいる方が珍しい。
伊織の席の近くで突っ立っているのに疑問自体は感じているかもしれないが、問われなければ何も答える必要はない。聞かれてもいないのに誤魔化す方が不自然だ。信じられないくらい嘘を吐くのが下手くそなのは、伊織に呼び出された件ではっきりしている。よって、余計なことは喋らないのが吉である。
翔真は迷惑をかけたことのみ素直に謝り、体育委員の後を追うように教室を出た。結局、本の表紙の写真は撮れずじまいだった。
突然聞こえた大声に、口から心臓が飛び出そうになった。クラスの体育委員の声だ。いつまでも顔を出さない自分を探して呼んでくるよう教師に言われたのかもしれない。
一瞬のうちに分析しながらも、翔真は焦っていた。絶対教室は確認するはずだ。何をしていたのか知られたら平和に生きていけなくなる。
手にしていたスマホを制服の下に隠し、外したカバーを大慌てで元に戻す。上手くいかない。挟めばいいだけの状態ではなかった。カバーの内側の、紙と紙の間に表紙を差し込んでいるような形だった。動揺している上にカバーを付けるのは初めてであるため、全く持って手際よくできない。
カバー如きに悪戦苦闘している間にも、足音は徐々に近づいてくる。やっとの思いで付け直したが、上手くできていないかもしれない。確認する時間も修正する時間もない。翔真は自分を信じ、足早に移動した。伊織の机の中に本を押し込み、立ち上がったところで体育委員が教室に顔を覗かせた。
「あー、まだここにいたのかよ。早く来いって」
翔真を呼び寄せる体育委員は、何をしていたのかなどは聞かなかった。どうでもいいのかもしれない。多分、そうだ。地味で目立たない根暗な翔真の行動に、興味を持つ人がいる方が珍しい。
伊織の席の近くで突っ立っているのに疑問自体は感じているかもしれないが、問われなければ何も答える必要はない。聞かれてもいないのに誤魔化す方が不自然だ。信じられないくらい嘘を吐くのが下手くそなのは、伊織に呼び出された件ではっきりしている。よって、余計なことは喋らないのが吉である。
翔真は迷惑をかけたことのみ素直に謝り、体育委員の後を追うように教室を出た。結局、本の表紙の写真は撮れずじまいだった。



