攻撃的な思考と行動に飲まれそうになるのを、深呼吸をして堪える。ここで荒々しい所作になってしまったら、慎重に事を進めてきた意味がなくなる。焦ってはならない。ずっと知りたかった情報が、煽っているかのように無防備なまま眠っていたとしても。
逸る気持ちを振り払いながら、丁寧に本を引き寄せた。このまま順調に行けば、伊織が好んで読んでいるジャンルを知ることができる。少なくとも、今読み進めている本がどのようなものなのかは確実に分かる。重要な情報を得られる。
カバーが見えてきた。継続してゆるゆると引き抜いた。本の重みを感じる。咄嗟に両手で持ち直し、本を開く姿勢に入る。自然と呼吸が荒くなる。表紙に指を引っ掛ける。全貌が明らかになるまであと少しである。堪らず唇を舐める。高揚する。
いよいよ本のタイトルが見えそうになったその瞬間、耳を劈くような爆発音がした。同時に両肩が持ち上がり、心臓が跳ね上がった。音の正体は授業の開始を知らせるただのチャイムであったが、翔真には目の覚めるような爆発音に聞こえた。
強烈な音によって眼前の霧が晴れ、じわじわと視界が開けていく。目に水分が入った。沁みた。反射的に手で擦った。前髪や額が濡れていた。多量の汗をかいていた。翔真は黙って手の甲で拭った。
授業が始まった。どうする。行くか、行かないか。考えた。いや、考えるまでもなかった。ここまできたら続けるしかない。土壇場で引くなどできない。手は既に、伊織の秘密に触れているのだから。
チャイムが鳴っても意味などなかった。翔真はやめなかった。手についた汗を自身の服に擦り付け、再び本を触る。表紙を開く。もう何も、行動を阻むものはない。翔真は止まらない。伊織を親友にしてからずっと欲しかった情報が、勢いよく目に飛び込んでくる。
『殺戮にいたる病』
明らかとなったタイトルを見て、翔真の思考がピタッと止まった。嬉々とした表情のまま硬直した。こめかみを汗が伝う。目が文字を凝視する。だんだん奇妙な焦りが芽生え始める。汗を拭う。唾を飲む。苦笑しそうになる。
逸る気持ちを振り払いながら、丁寧に本を引き寄せた。このまま順調に行けば、伊織が好んで読んでいるジャンルを知ることができる。少なくとも、今読み進めている本がどのようなものなのかは確実に分かる。重要な情報を得られる。
カバーが見えてきた。継続してゆるゆると引き抜いた。本の重みを感じる。咄嗟に両手で持ち直し、本を開く姿勢に入る。自然と呼吸が荒くなる。表紙に指を引っ掛ける。全貌が明らかになるまであと少しである。堪らず唇を舐める。高揚する。
いよいよ本のタイトルが見えそうになったその瞬間、耳を劈くような爆発音がした。同時に両肩が持ち上がり、心臓が跳ね上がった。音の正体は授業の開始を知らせるただのチャイムであったが、翔真には目の覚めるような爆発音に聞こえた。
強烈な音によって眼前の霧が晴れ、じわじわと視界が開けていく。目に水分が入った。沁みた。反射的に手で擦った。前髪や額が濡れていた。多量の汗をかいていた。翔真は黙って手の甲で拭った。
授業が始まった。どうする。行くか、行かないか。考えた。いや、考えるまでもなかった。ここまできたら続けるしかない。土壇場で引くなどできない。手は既に、伊織の秘密に触れているのだから。
チャイムが鳴っても意味などなかった。翔真はやめなかった。手についた汗を自身の服に擦り付け、再び本を触る。表紙を開く。もう何も、行動を阻むものはない。翔真は止まらない。伊織を親友にしてからずっと欲しかった情報が、勢いよく目に飛び込んでくる。
『殺戮にいたる病』
明らかとなったタイトルを見て、翔真の思考がピタッと止まった。嬉々とした表情のまま硬直した。こめかみを汗が伝う。目が文字を凝視する。だんだん奇妙な焦りが芽生え始める。汗を拭う。唾を飲む。苦笑しそうになる。



