聞きたいことがある。何を。何を聞きたいのだ。伊織は翔真を見ている。聞きたいことがある。額ではない背中にじっとりと汗をかく。伊織は翔真を見ている。聞きたいことがある。まさかとは思うが、伊織に隠れてしていることが、バレてしまったのか。伊織は翔真を見ている。じっと見ている。翔真の内面に気づいているのかいないのか、その目からは判断できない。できないが、伊織が声をかけてくる理由が他に思い浮かばない。
自然と目が泳いでしまう翔真はたじたじになった。一方的に話を進めはしない伊織が、はっきりとたじろぐ翔真の返事を待っている。伊織は翔真を見ている。翔真を見ている。見ている。翔真の目が泳ぐ。目が泳ぐ。泳ぐ。頭の中の思考も泳ぐ。思考も泳ぐ。泳ぐ。ゆらゆら、ゆらゆら。
「……俺に、話しかけてる?」
「目が合ってるし、西原の名前も出したよ」
うんでもそうでもお前以外に誰がいるでもない独特な言い回しをする伊織は、ようやく返ってきた言葉が阿呆丸出しのようなものであっても苛立つ様子もなくゆったりと喋った。胸を覆う嫌な予感は一向に消えない。かなりまずい状況だった。
「な、なんだよ。俺に聞きたいことって」
右へ左へ、視線がうろうろ。心当たりがあるのを全く隠せていなかった。自然と瞬きも多くなり、伊織と目を合わせられない。
元々誰かと目を合わせて話をするのは苦手だが、だとしても落ち着きがなさすぎる。分かってはいるものの、いきなり演技が上手くなるわけでもない。もし伊織の聞きたいことが翔真の予想している事柄であるのなら、このリアクションが答えのようなものだった。
一人で焦る翔真と違って冷静な伊織は、一旦翔真から目を離し、軽めに教室を見回した。翔真もつられて周りを見遣ると、少なくない生徒が物珍しげな表情で翔真と伊織を交互に見ていた。纏う雰囲気は異なるものの、どちらも口数が少ない性質で、だからこそ興味が湧いてしまう組み合わせなのかもしれない。
自然と目が泳いでしまう翔真はたじたじになった。一方的に話を進めはしない伊織が、はっきりとたじろぐ翔真の返事を待っている。伊織は翔真を見ている。翔真を見ている。見ている。翔真の目が泳ぐ。目が泳ぐ。泳ぐ。頭の中の思考も泳ぐ。思考も泳ぐ。泳ぐ。ゆらゆら、ゆらゆら。
「……俺に、話しかけてる?」
「目が合ってるし、西原の名前も出したよ」
うんでもそうでもお前以外に誰がいるでもない独特な言い回しをする伊織は、ようやく返ってきた言葉が阿呆丸出しのようなものであっても苛立つ様子もなくゆったりと喋った。胸を覆う嫌な予感は一向に消えない。かなりまずい状況だった。
「な、なんだよ。俺に聞きたいことって」
右へ左へ、視線がうろうろ。心当たりがあるのを全く隠せていなかった。自然と瞬きも多くなり、伊織と目を合わせられない。
元々誰かと目を合わせて話をするのは苦手だが、だとしても落ち着きがなさすぎる。分かってはいるものの、いきなり演技が上手くなるわけでもない。もし伊織の聞きたいことが翔真の予想している事柄であるのなら、このリアクションが答えのようなものだった。
一人で焦る翔真と違って冷静な伊織は、一旦翔真から目を離し、軽めに教室を見回した。翔真もつられて周りを見遣ると、少なくない生徒が物珍しげな表情で翔真と伊織を交互に見ていた。纏う雰囲気は異なるものの、どちらも口数が少ない性質で、だからこそ興味が湧いてしまう組み合わせなのかもしれない。



