店に入っていながら何もせずにただ突っ立っているのはどう考えてもおかしいため、翔真は文房具売り場を手前から見て回ることにした。
豊富な種類のボールペンがずらりと並べられている棚から見ていく。本だけでなく文房具にも関心がない翔真は、目についたものを手に取って、それがノック式であればカチカチと何度かペン先を出して引っ込め、キャップ式であれば何とはなしにキャップを外して嵌め直し、試し書きができそうなら雑に波線を引いて試した。書きやすさがどうのこうのと謳っているボールペンであったが、へえ、そうなんだ、と冷めた感情しか湧かず、心が揺れ動くような現象は起きない。
ボールペンの隣はシャーペンのコーナーになっていた。こちらはフックにかけられているため、書き心地を試す真似はできない。翔真は商品を選ぶというよりも鑑賞するような眼差しで見物し、ある一点に視線を絡め取られた。釘付けとなり、やおらそのシャーペンをフックから抜き取る。黒軸の、シンプルでクールなデザインのシャーペン。
食い入るような目つきで対象を見つめた。頭の片隅に保存している情報の中から、ある一つの事柄が浮かび上がってくる。嫌がらずにすんなり顔を出してくれたデータを逃がさないように脳裏に貼り付け、現物と照らし合わせてみた。
似ている。非常によく似ている。見れば見るほど似ている。似ているどころか、まんまこれなのではないか。伊織が使用しているシャーペンは。
定期的に書店に通っているであろう伊織が、文房具もここで一緒に買うことは十分考えられる。翔真は偶然を装って同じものを買ってみようかと思案し、一旦商品を戻して手に提げていた鞄を弄った。常に入れたままの財布を取り出し、中を検めてみる。余裕はある。買える。半端な時期だが、シャーペンを新調する意味も込めて購入してみようと翔真は決断した。同じものを使用していることで、自然な接点が生まれるかもしれない。
買わなければよかったなどと後悔したくなかった。それ故に、シャーペンを買う理由とメリットをいくつも並べ立て自身を納得させながら、翔真は一度フックにかけた商品を今度は買うつもりで手に取った。
豊富な種類のボールペンがずらりと並べられている棚から見ていく。本だけでなく文房具にも関心がない翔真は、目についたものを手に取って、それがノック式であればカチカチと何度かペン先を出して引っ込め、キャップ式であれば何とはなしにキャップを外して嵌め直し、試し書きができそうなら雑に波線を引いて試した。書きやすさがどうのこうのと謳っているボールペンであったが、へえ、そうなんだ、と冷めた感情しか湧かず、心が揺れ動くような現象は起きない。
ボールペンの隣はシャーペンのコーナーになっていた。こちらはフックにかけられているため、書き心地を試す真似はできない。翔真は商品を選ぶというよりも鑑賞するような眼差しで見物し、ある一点に視線を絡め取られた。釘付けとなり、やおらそのシャーペンをフックから抜き取る。黒軸の、シンプルでクールなデザインのシャーペン。
食い入るような目つきで対象を見つめた。頭の片隅に保存している情報の中から、ある一つの事柄が浮かび上がってくる。嫌がらずにすんなり顔を出してくれたデータを逃がさないように脳裏に貼り付け、現物と照らし合わせてみた。
似ている。非常によく似ている。見れば見るほど似ている。似ているどころか、まんまこれなのではないか。伊織が使用しているシャーペンは。
定期的に書店に通っているであろう伊織が、文房具もここで一緒に買うことは十分考えられる。翔真は偶然を装って同じものを買ってみようかと思案し、一旦商品を戻して手に提げていた鞄を弄った。常に入れたままの財布を取り出し、中を検めてみる。余裕はある。買える。半端な時期だが、シャーペンを新調する意味も込めて購入してみようと翔真は決断した。同じものを使用していることで、自然な接点が生まれるかもしれない。
買わなければよかったなどと後悔したくなかった。それ故に、シャーペンを買う理由とメリットをいくつも並べ立て自身を納得させながら、翔真は一度フックにかけた商品を今度は買うつもりで手に取った。



