お喋りなクラスメートが揃うまで、翔真がいなければ流れていなかったであろう妙に居心地の悪い空気は流れ続けていた。それでも翔真は、伊織を追いかける行為をやめようとは思わなかった。翔真の中では、空気の悪さから逃れることよりも、伊織の情報を得ることの方が優先度は高いのだった。
授業を終えて教室に戻る時も、伊織の行動は早かった。ちんたらせずに席を立ち、また一番に扉を開けて出て行く。翔真は後を追いつつも、後を追っているとは思われないよう自然な動作を意識した。おかしなことは何もない。他のクラスメートも同じ動線を辿るのだ。普通にしていればいい。
伊織の後に動き、伊織をこっそり眺め、貴重な情報を吸い取るかの如く様子を窺う。生物や音楽、体育などで、教室を移動しなければならない時は毎回後をつけるのが習慣になりつつあった。
放課後になって伊織が帰路に就いてからも、貪欲な翔真は尾行を続けた。といっても、自宅への道は真逆のため、尾行するのは正門を出るまでの間である。流石に自宅までは行かなかった。そこまでついていってしまうと、気づかれた場合の上手い言い訳ができない。帰り道など同じではないのに同じだと目を見て堂々と言い張れる自信はなかった。
今の自分にできそうにないことはやらない。欲張りすぎるといつか痛い目を見る。どんなに焦燥感を抱いていても、自身の技量を見誤ってはならない。自分は伊織のように何でもそつなくこなしてしまう器用な人間ではない。イケメンでもなければ余裕があるわけでもない。脳内はいつだって煩悩で溢れ返っている。伊織、伊織、伊織。雨宮伊織。彼は唯一の親友である。
この日も翔真は伊織に張り付いていた。本人や他人に不審な行動を咎められることもなく、無事に放課後を迎えられている。翔真は帰宅する伊織の後ろを十分に離れて歩き、その背中を見つめていた。正門を出てしまうまであと僅かだ。そこを抜けたら大人しく帰路に就き、SNSをじっくり確認する。教室でもこそこそ見てはいるが、思う存分見られてはいなかった。
授業を終えて教室に戻る時も、伊織の行動は早かった。ちんたらせずに席を立ち、また一番に扉を開けて出て行く。翔真は後を追いつつも、後を追っているとは思われないよう自然な動作を意識した。おかしなことは何もない。他のクラスメートも同じ動線を辿るのだ。普通にしていればいい。
伊織の後に動き、伊織をこっそり眺め、貴重な情報を吸い取るかの如く様子を窺う。生物や音楽、体育などで、教室を移動しなければならない時は毎回後をつけるのが習慣になりつつあった。
放課後になって伊織が帰路に就いてからも、貪欲な翔真は尾行を続けた。といっても、自宅への道は真逆のため、尾行するのは正門を出るまでの間である。流石に自宅までは行かなかった。そこまでついていってしまうと、気づかれた場合の上手い言い訳ができない。帰り道など同じではないのに同じだと目を見て堂々と言い張れる自信はなかった。
今の自分にできそうにないことはやらない。欲張りすぎるといつか痛い目を見る。どんなに焦燥感を抱いていても、自身の技量を見誤ってはならない。自分は伊織のように何でもそつなくこなしてしまう器用な人間ではない。イケメンでもなければ余裕があるわけでもない。脳内はいつだって煩悩で溢れ返っている。伊織、伊織、伊織。雨宮伊織。彼は唯一の親友である。
この日も翔真は伊織に張り付いていた。本人や他人に不審な行動を咎められることもなく、無事に放課後を迎えられている。翔真は帰宅する伊織の後ろを十分に離れて歩き、その背中を見つめていた。正門を出てしまうまであと僅かだ。そこを抜けたら大人しく帰路に就き、SNSをじっくり確認する。教室でもこそこそ見てはいるが、思う存分見られてはいなかった。



