フォロワー数は片手で数えられるほどしかいないアカウント。何気ない日常や適当な趣味についてぽつぽつと落としているだけのつまらないアカウント。他人から何かしらの反応がある方が珍しいくらい無色透明なアカウント。つまり弱小アカウントなのだった。底辺アカウントなのだった。翔真の動かしているアカウントは。
鼻から息を吐き出し、翔真は顔を上げる。多数の生徒の姿が目に入る。誰も翔真を気に留めていない。翔真は視線を動かした。人と人の間から覗き見るようにして、窓際の一番前の席に目を遣った。
教室の隅の席に座っている生徒、雨宮伊織は、文庫本を開いていた。休憩時間はいつもそうだった。誰とも連まず、黙々と一人の時間を堪能しているのだ。それでいて、読書が趣味の地味な人であるようには見えない存在感があった。独特の雰囲気がある人。物静かで大人しい人。一匹狼でミステリアスな人。周りからはそう称されていた。
地味な人だと陰でこそこそと嗤われない所以は、顔が極端に良いせいだ。眉目秀麗であることが、地味さを完全に払拭している。これが、どこにでもいそうな普通の顔面であれば、あるいは、醜悪とも形容されそうな不細工な顔面であれば、翔真が片足のみならず両足まで突っ込んでいる陰気臭い地味男にカテゴライズされていたに違いない。誰よりも整っている顔面が、伊織の評価を持ち上げているのだ。
やはり、イケメンだ。どの角度から見ても、人と人の隙間から見ても、イケメンだ。顔面のレベルが違いすぎて、不用意に近づくことすら憚られるほどに。
伊織が本のページを捲った。ごくりと唾を飲む。翔真は握っているスマホに目を落とした。素早く指を動かす。
【本のページを捲る動作すらイケメンなの本当にどういうことなのか親友に問い質してやりたい】
親友、と打つと、罪悪感が募った。今朝もそうだった。翔真は気づかないふりをして、その文言をSNSに投稿した。
鼻から息を吐き出し、翔真は顔を上げる。多数の生徒の姿が目に入る。誰も翔真を気に留めていない。翔真は視線を動かした。人と人の間から覗き見るようにして、窓際の一番前の席に目を遣った。
教室の隅の席に座っている生徒、雨宮伊織は、文庫本を開いていた。休憩時間はいつもそうだった。誰とも連まず、黙々と一人の時間を堪能しているのだ。それでいて、読書が趣味の地味な人であるようには見えない存在感があった。独特の雰囲気がある人。物静かで大人しい人。一匹狼でミステリアスな人。周りからはそう称されていた。
地味な人だと陰でこそこそと嗤われない所以は、顔が極端に良いせいだ。眉目秀麗であることが、地味さを完全に払拭している。これが、どこにでもいそうな普通の顔面であれば、あるいは、醜悪とも形容されそうな不細工な顔面であれば、翔真が片足のみならず両足まで突っ込んでいる陰気臭い地味男にカテゴライズされていたに違いない。誰よりも整っている顔面が、伊織の評価を持ち上げているのだ。
やはり、イケメンだ。どの角度から見ても、人と人の隙間から見ても、イケメンだ。顔面のレベルが違いすぎて、不用意に近づくことすら憚られるほどに。
伊織が本のページを捲った。ごくりと唾を飲む。翔真は握っているスマホに目を落とした。素早く指を動かす。
【本のページを捲る動作すらイケメンなの本当にどういうことなのか親友に問い質してやりたい】
親友、と打つと、罪悪感が募った。今朝もそうだった。翔真は気づかないふりをして、その文言をSNSに投稿した。



